リズを彩るキャラ他

傘木希美を考察することは、鎧塚みぞれを考察することでもあるのだ。ということで希美考察に追加していこうと思いましたが、かなり個人的嗜好が入るので別にしました。

 

リズを彩るキャラ

鎧塚みぞれ

リズと青い鳥はみぞれの成長物語であるとも言われています。ひな鳥がはばたき飛び立つ、まさに主人公です。個人的には報われる主人公よりもその脇にいるキャラに入れ込んでしまう性質ですが、ユーフォの場合みぞれはみぞれで内面ぐちゃぐちゃなんですよね。それでも最後にみぞれの出した結論がとても素敵だと思ったので、その感想ついでの考察です。

 

矛盾する感情

まずリズの入りからして、2年での「たったいま、好きになった(満面の笑顔)」が、3年で「本番なんて、一生来なくていい」へ180度転換してる時点で何があった状態です。さらに原作にはパンフレット事件の際、いわゆるみぞれの心情を表すモノローグとして読者を混乱へと突き落とす一文があります。読んだ人全員が、武田先生これは一体どういうこと?って思わず突っ込んだんじゃないかと。

軽やかな足音。太陽のような明るい笑顔。こちらに手を振っている少女の名は、傘木希美。みぞれの唯一の友達だ。(第二楽章前編p.385)

実際には優子(+リズ梨々花)の努力のかいもあり、みぞれは少しずつ変わり始めます。優子が喜んでくれることが嬉しい。梨々花が慕ってくれることが嬉しい。希美以外に興味を持つという、以前までのみぞれとは全く違った姿を見せています。2年での関西大会金賞&全国進出という奇跡のような偉業を、仲間との共同作業で勝ち取ったという成功体験も大きな役割を果たしたのではないかなと個人的には思います。

それでいて希美に関わる場面では、先の一文と同様に成長が消え失せて元に戻ったかのような描写が端々に見られます。希美だけが唯一の友達、希美が言ったから後輩を大切にする、希美が言ったから他の子も誘う、希美との別れが近づく本番なんて一生来なくていい。この心理状態、非常に危ういです。

リズでも原作でもみぞれの思考はなかなか描かれないので完全に独断と偏見混じりでいくと、みぞれの成長と相反する極端な希美崇拝言動は次のような理由と考えています。

 

心の容量

言うまでもなくみぞれは希美が大好きです。一方で、みぞれの成長によりみぞれの心を希美以外の存在が侵食し始めています(第二楽章後編p.176)。これは久美子の表現ですけど、みぞれ自身も無意識ながらまさに侵食と感じていたのかもしれません。

好きという箱には容量があり、他の好きを入れるとそれまで満たされていた好きがこぼれてしまう。でも希美への想いで満たされていない自分を希美が大切に思ってくれるわけがない。いついなくなるか分からない希美、見放されないためには自分の心を希美で満たしておく必要がある希美が決めたことが、私の決めたこと

別の存在の流入と希美で再び一杯にするための反動が無自覚な矛盾を生み、意識と行動が連動しない状態に陥ったとのではないかと推測します。 

 

音楽が好き

この矛盾が顕著に見られるのが音楽に対してです。みぞれは自分の口では音楽が好きと言いません。2年次には音楽だけが希美と自分を繋ぐものであり、下手になる=見放されるなので練習していると説明しています。それどころか希美がいなくなった理由も吹奏楽であるため、音楽に対する憎悪すら吐き捨てています。自分から希美を奪った音楽、その音楽の流入で自分の心から希美がこぼれ落ちる、認められないし許せません

「馬鹿みたい。こんなものにみんな夢中になるなんて。いくらやったって、楽しいことなんてひとつもないのに。何も残らないのに。苦しい気持ち、ばっかりなのに」(2巻p.259)

一方で直後の優子のカチコミでは、府大会金賞が実はうれしかったことも告白しています。そもそもあの練習量、本当に音楽が好きじゃない人間が出来ることなのか?ということも考えると、無意識下に押し込めているだけで心の奥底では音楽が好きという感情が灯っていると思われます(特に2年でのコンクール以後は)。

希美が自分の全てという意識”と”音楽が好きという無意識”、対立が表面化したのが原作における進路選択です。自縄自縛に陥った希美は直接伝えることはできないものの、一般大学のオープンキャンパスに参加、予備校に通うなどを隠しもせず、”音大以外の進路へ進むこと”をほのめかします。しかし、みぞれは音大以外の志望校には見向きもしません。まさに矛盾です。そして久美子がその矛盾について考えましょうと諭します。

「音楽が好き。だから、目をそらしていたかった」が希美の複雑な想いであるならば、みぞれは「音楽が好き。だけど、目をそらしていたかった」になるのかもしれません。

 

特別な人がくれた特別なもの

新山先生から与えられた新たな視点、相手の立場になって考えるということ。この視点によりみぞれは音楽面だけでなく人間的にも殻を破ります。青い鳥の気持ちを考えることは、愛の形はひとつではないこと、傍にいることだけが愛じゃない*1という気付きでもあります。

希美考察でも触れたようにリズと原作では大好きのハグ周辺の展開が異なりますが、最後の希美からの言葉は「みぞれのオーボエが好き」ということです。これは奇しくも2年での和解の際にかけた言葉と同じです。しかし、同じ言葉でも希美の込めた想いが異なるように、みぞれの受け取り方も全く異なっていたのではないでしょうか。

そして大会後に、みぞれは自分の出した結論を久美子に伝えます。このみぞれの出した結論、最高だと思ってます*2

「私、頑張ろうと思う」

「音大受験をですか?」

「それだけじゃなくて、音楽を。希美がいなくても、私、オーボエを続ける。音楽は、希美が私にくれたものだから」(第二楽章後編p.361)

意識と無意識、希美と音楽の対立関係。視野が広がったみぞれには、2つの好きを対立させることなく両方ともを受け入れることが出来るようになります。それだけではなく、音楽が好きは希美が好きに包含される特別な人がくれた特別なもの、音楽もみぞれの宝物のひとつに昇華されたのではないかと思います=音楽とのjoint

ただでさえ息をするように練習していたみぞれ、この認識を得てどうなってしまうのか想像もつきません。マリオ的に言えば、もはや演奏面では永久スター状態になるんじゃないかとすら感じます。この先どこまでもはばたいていけることでしょう。

 

ちょっと能天気な考察かも知れないですが、それはそれでいいんじゃないかと思っています。だって、物語はハッピーエンドがいいよ!って希美も言ってますしね。その後のみぞれについてはホントの話のところで少し述べます。

 

新山聡美

リズのキーパーソン。みぞれにのみ音大パンフを渡す、希美の相談はそっけないという、悪魔的所業で心を破壊しに来る新山先生は希美好きからすると超危険人物です。また、リズでは木管担当なのにみぞれを指導している場面しかでてきません。ただ、これは新山先生の対応を通して天才とそうでない人間の対比を強調したかった映画的描写であり、ある意味損な役回りを与えられたと言えます(実際は場面外で希美達にもしっかり指導していると思われます)。

それにしてもこの新山先生、冷静に指導面を見ると物凄い敏腕ですよね。みぞれの相談に対し、①同調から入り警戒を解く、②実感しないと感情をこめて吹けないタイプと的確に分析、③実感できる視点への変更を提案、④結論を与えるのではなく教え子が結論を出すまで待つ。この優秀さ、滝先生が呼んでくるわけですよ

才能の発掘、進路紹介、新たな視点の付与。みぞれにとって特別な人は永遠に希美であることは変わらないとしても、人生の師と言えるのは新山先生になるんじゃないでしょうか(新山先生がみぞれに共通する部分を持っていたことも含めて)。

余談ですが、Twitterとかの新山先生考察を見ていて物凄い面白いなと思ったのは”千尋先輩オーボエ”です*3。いやこれ考え出すとやばいですね、そりゃ仕方ないね新山先生となるしかない。最初に言い出した人天才です*4。原作で明らかにされることがあるのかないのか、気長に待ちたいところです。

 

 

北宇治高校吹奏楽部のホントの話

短編集2巻として出版されたこの巻、素晴らしい話ばっかりです。特に希美が好きな人間にはたまりません。具体的描写はなしでリズ、大会後としての感想を少しだけ。

 

傘木希美

希美の今後を語る上で外せない「真昼のイルミネーション」。希美の高潔さ、前向きな姿勢、友人思いなところ、余すところなく詰め込まれています。この話を読めば、希美の未来に不安を抱えていた人も希美はこれからも大丈夫だと安心できると思います。

そして「アンサンブルコンサート」。流石は部長経験者だなという気配りや本当に音楽が好きなんだなという気持ちが伝わってきます。リズでの挫折を経ようが(むしろ経たからこそ?)揺るがない音楽が好きだという姿勢、読んでいて嬉しくなりました。

これまでハードモードな部分が描かれることの多かった希美。それにもめげずむしろ糧にしてしっかりと前へ進んでいきます。その先には間違いなく希美のハッピーエンドがあるでしょう。

ピークはこれから更新されるから大丈夫

(傘木希美、短編2巻p.141)

 

鎧塚みぞれ

みぞれが出てくるのは卒業式の朝、登校場面の「飛び立つ君の背を見上げる」の他には「アンサンブルコンサート」のほんの一部だけです。それでもその少しの描写だけで成長がありありと感じられます。自分の道を自分の意志で選択できること、希美に対して行動を起こせること、希美以外の存在を受け入れ感謝を示せること。みぞれはとっくにひな鳥ではありません、しっかりと飛び立てる鳥です。

希美に対しても変に自分を卑下することなく、横に並んで歩めるようになっています。会話が途切れ沈黙が訪れたときに不安や不快がない関係、お互い本音を言い合い対等な立場になったからこそだと思います。”添い遂げる”という表現に当たるかどうかはともかくとして、こういう関係はとても貴重であり少なくとも”一生モノ”となるのでは、と感じます。今後ののぞみぞ関係って結構カッコいい感じになるんじゃないかとか勝手に考えていたりします。

 

音大というゴール

ユーフォ中で麗奈により最初から示されている高校生活の1つのゴール、それが音大に行くことです。立華編、第二楽章、リズでも進路選択のゴールとして音大というものが与えられました。音楽をテーマとしている物語では必然とも言えます。

一方で、”音大だけがゴールではない”ということも徐々に示されています。特に希美は一度社会人楽団に所属し外の世界を見ているため、希美を通して音大以外の選択肢というものが読者に、そして久美子に投げかけられています。

高校生活の締めくくりとして逃れられない進路選択問題。果たして久美子は音大を目指すのか。どの進路を選ぶにせよどういう意思でそれを選択するのか。コンクールとともに久美子3年編で大きな柱となりそうなこの問題、麗奈との関係も含めどのような着地点となるのかとても楽しみです。

 

 

*1:たまゆら~卒業写真~の主題歌から表現を拝借

*2:リズではここから「私も、オーボエ続ける」が採用され、この会話周りで様々な解釈を生まれているので読んでいて楽しいです(支えるのはソロだけか否か、続けるに対する回答が「うん」だからこれからも支えるってこと?等々)

*3:千尋先輩については短編2巻ホントの話を参照

*4:私が知ったのは怜-Toki-のめきめき先生のTwitterでの考察でした(私は咲-saki-では末原先輩派です)

傘木希美考察~北宇治3年編~

吹部復帰までで述べたように、リズと青い鳥を迎えるまでは2人は本当の意味では出会っていないと思っています。希美はみぞれをよく分かっていないけれども理解しようという興味を示さず、みぞれも希美に自身を理解してもらうための行動をしません。

リズではこの関係が、ソロの掛け合いという音楽的衝突、ついに行動するみぞれ、両者の決断により大きく変化する様子が描かれます。

 

傘木希美パラレルワールド

というので時系列的に考えてきたわけですが、当たり前だけど原作は原作、TV版はTV版、リズはリズなんですよね。全てが繋がっているわけではないため、はっきり言って前段の過去考察はリズ自体にはあまり意味がなかったりします。つまり、原作、TV版、リズと三者三様の傘木希美が存在します。そしてどれを見たかで同じキャラでも人によって受ける印象が異なります。

特にリズはユーフォの冠を外した独立作品としているため、映画の尺に合わせてキャラを単純化し分かりやすくしていると感じました*1。ある部分は足されたり強調され、ある部分は引かれたりしています。

リズの画面に描き切れなかったけれども下地にされている部分、リズでは参考とされていない部分、原作との切り分けはどこに境界があるのか判断するのは難しいところです。そして一度見て(読んで)しまえば全てを切り離せなくなるため、本稿は全作が混じり合った考察感想です

繰返し視聴でもはや理屈で見てしまっている部分があるので、願わくばまっさらな感情で見た初回をもう一度体験したいものです・・・。

 

 

傘木希美と鎧塚みぞれ

希美の行動原理は音楽、みぞれの行動原理は希美(ずっと一緒にいたい、嫌われたくない)が主です。そんななかで3年になり卒業が視界に入ります。すなわち、希美的には将来の選択を、みぞれ的には希美との別離の覚悟を決めないといけないタイムリミットが近づいてきます。

 

特別であるということ

誰かが誰かにとって特別であるということ、これは当事者かそうでないかで抱く感情が完全に異なります。他人からすると自分と希美でみぞれの反応が違う、みぞれにとって希美は特別なんだな、で終わりです(特別であることに理由を求めません)。しかし、特別と思われる側はそうなりません。これは優子との立場の違いで鮮明に見られます。

なにしろ希美はみぞれに対して特別なことをしていません、部に誘っただけです。特別と思われる理由がないのに特別に思われていると何の疑いもなく受け入れられる人間がいるでしょうか。ユーフォ中で最も特別と周りから評されている田中あすかですら、香織先輩に特別だと真正面から告げられても納得していません*2(短編2巻p.48)。

香織先輩と違ってみぞれは希美に特別であると告げていなかった上、前述したように距離を詰める行動を起こさなかったこともあり、希美は自分がみぞれにとって特別であるとは思っていない、もしくは周りからそう言われても納得できない心理と思われます。原作終盤では、みぞれがついに特別を伝えたときに希美がこのことに言及しています。

「なんでそこまで言ってくれんるかわからんわ。うち、自分で言うのもなんやけど、みぞれにそこまで特別なことしてへんやん」(第二楽章後編p.303)

 

演奏の実力

鎧塚みぞれ

みぞれの演奏技術は麗奈を上回る作中最強クラスです。原作公式twitterが天才と紹介するくらいです*3。しかも音大卒業してどこかのプロになれればゴールというだけのただの天才ではありません(これも十分すぎるほど凄いことなのですが)。作中で海外の楽団に所属することまで示唆されているような飛び抜けた天才です(短編1巻p.171)。

これは異常なまでの努力の賜物でもあり、希美をして息をするように練習をすると言わしめています。この努力は、みぞれ曰く「オーボエだけが自分と希美を繋ぐもの」であり、希美に見捨てられないためにしているものですが、みぞれは本当に希美のためだけオーボエを続けているのかということも主に進路選択部分に関わってきますみぞれ考察で記載

周囲からの演奏評価としては覚醒後はもはや無双状態で、リズではあの麗奈も圧倒されたと認め、プロパーカッショニストのはしもっちゃんも口あんぐりです*4。原作だと新山先生も優雅さの仮面を思わず脱ぎ捨てて大興奮で壇上に駆け上がります。この巨大すぎる才能、そこらの凡人だと対抗しようとかいう考えすら出てこずに白旗です。

 

傘木希美

リズでは希美の実力を示す描写はあまり出てきません。夏紀の2人ともエースって感じでカッコいいくらいでしょうか。また、フルートパートの雑談が頻繁に出てくるため、練習を真面目にしていないと勘違いされることがあります。他のキャラに注目すると分かりますが、フルートの雑談はランチ休憩や全体練習後の帰宅前など練習以外の時間です。逆にフルート光場面や新山先生がパンフレットを渡している場面など、みぞれが練習していない時間にフルートが練習をしている場面もあります。

リズ中ではそもそも練習の描写自体が全体でも他パートでもほとんどなく、希美が周りに慕われていることを強調するために雑談部分をピックアップしたのでしょう。朝早く来ていることも含め、単にON-OFFの切り替えがしっかりしているのがフルートパートというのが実情かと推測されます。

さて、一方の原作中に示される希美の実力ですが、描写、作中キャラの評価ともにかなり高いです。あのあすかが希美が上手いから引き止めようとしたこと、あの滝先生がオーボエとフルートの掛け合い曲を選んだことだけでも実力の高さは分かりますが、復帰前の描写では以下があります。しかもTV版では演奏していたのが南中韃靼人の踊りだったのに対し、原作では北宇治の自由曲です。滝先生の指導を受けておらず、楽譜コピーをもらっただけの状態で久美子が瞬時に判定してしまいます

楽しくて美しい、澄んだ音色。いま、ここでそれが完璧に再現されている。その音は北宇治高校のソリストが奏でる音楽とはまったく異なっていた。技術的なことを考えても、こちらの方が上手い。(2巻p.107) 

また、前述のようにみぞれは作中最強の天才で覚醒前でも既に高校トップレベです。そして覚醒前であれば相性は最悪ながらも希美とみぞれの演奏は優劣つけがたい評価を受けています(覚醒後は希美に限らず誰も敵いません)。まぎれもなく希美も音楽の才能を持っている側です。才能があるからこそみぞれの凄さを誰よりも理解し打ちのめされるのです。

希美の演奏は、芯の通った凛とした音をしていた。抑揚のつけられた演奏は感情的で、奏でられる音の一つひとつから強いエネルギーを感じた。その演奏を聞いたあとだと、みぞれの奏でるオーボエの旋律はどこか物足りない。~中略~ みぞれの音だけを切り離して聞いてみれば、演奏そのものはかなりハイクオリティーに仕上がっていると思う。ただ、希美のソロと組み合わさった際に違和感を生じさせるだけで。(第二楽章後編p.83-84)

「君ら二人はなー、足して二で割るくらいがちょうどええと思うねん。いっぺん二人三脚とかしてみたらどう?案外うまくいくかもしれんで」

「私は二人ならきっとなんとかなると思っているの。どちらの演奏も高校生とは思えないほど素晴らしいもの」(橋本真博&新山聡美、第二楽章後編p.193-194)

「鎧塚先輩も傘木先輩も、優秀だからこそより多くの結果を期待されるのでしょうね。個人的にはいまのソロでもなんら問題ない気もしますが」(久石奏、第二楽章後編p.196)

 

3年生:自由曲リズと青い鳥

負の感情の芽生え 

退部時の考察で書いたように、嫉妬(羨望)は賞賛の裏返しです。そして2年の復帰時でもみぞれのオーボエに対して純粋に称賛の側にいます。これが負の感情を持つことで裏返る過程が描かれているのがリズと青い鳥です。

何故称賛が嫉妬へと裏返ったのか、そのきっかけは希美自身がみぞれとの比較対象となったこと、だと思われます。すなわち、①自由曲ソロの掛け合いでみぞれのオーボエと直接的にぶつかり合う状況となったこと②みぞれだけがプロから音大進学を勧められたこと、です。そして③みぞれが音楽をそれほど愛していない態度をとること、が希美に大きな負の感情を抱かせます。

フルートとオーボエの掛け合いを円滑にする解決策は、希美とみぞれの両者が本音で意見交換することです。しかし実際に希美が行った行動はみぞれに頑張れ、頑張ろうと声をかけるのみで、本質に向き合うのを避けています。みぞれだけでなく希美も行動を起こさないのが自由曲最大の問題となっています。

 

①自由曲ソロでの掛け合い

自由曲リズと青い鳥、これはオーボエとフルートの掛け合いが最も重要な曲と言われています。まさに希美とみぞれが真正面から”音楽で”向き合う、比較されるという立場に否が応でも立たされることになります。

さらに希美はみぞれのオーボエが感情爆発だということを知っています。それが自分との掛け合いになると出てこない、明らかに不自然です。むしろ自分がいない期間の無感情オーボエを聞いていないため、その違和感は麗奈以上に感じていたでしょう。そして麗奈も思いつかなかったように、原因は他者が推測するのは難しいものでした。フルートにオーボエが答えてくれない、答えてもらおうと感情的に問いかける、より合わなくなるの悪循環が始まります。

そして感情オーボエでないのは、「希美とは一緒に吹きたくない」「希美相手では本気を出すことが出来ない」とみぞれが考えているのではないかと推測したと思われます(後者は麗奈とよく似た推測ですね)。みぞれに対する負の感情が広がりはじめます

  

②進路についての悩み

希美は退部期間に社会人楽団に所属していたため、音楽を続けるのにはプロ以外の選択肢があること、音楽が好きとプロがイコールではないことを知っています。そして音大がゴールではないということも理解しています。音大に入るからにはプロを目指す道を選ぶことという確固とした考えを持っています。だからこそ進路で悩んでいます。

ただこれは原作の話で、リズではかなり違う設定になっているかもしれません。山田監督のインタビューだと退部期間は音楽をやめている、音大へ行かなければ音楽はやらない、というようにも読めるからです。原作ではどの大学に行ったかまで描写されていますが、リズでは大会すら始まらずに終わります。「途中から途中の物語でありたい」という監督の思いが、”結果”を示さないキャラ設定に表れたのかもしれません。

-希美は大学は音楽科を諦めて普通科に行ったのですか?(要約)

「今の彼女はそう思っているでしょうけど、やっぱり音楽をやりたいと思うかもしれないですね。希美は過去にも吹奏楽部を辞めて、やっぱり音楽をやりたいと戻ってきましたからね。だからこの子はなかなか信用がならない子です(笑)。その時その時の気持ちに準ずるので。だから、希美はこの進路を選びましたと決めちゃダメだなと思ったんです。この子の性格を考えたら決断が変わる可能性もあるし、もっといい答えを見つける可能性があると思うので。なので今の彼女はこれです、という見せ方しかしてないです」(Spoon, No.124, p.54)

どちらにせよ進路について悩んでいるわけですが、そこにタイミング悪く?新山先生がみぞれにのみ音大の話を持ち掛けます。しかし自分にはその話が来ていない、新山先生にその意図があろうとなかろうと、希美からすればみぞれより下であると比較され、線引きされたわけです。大ダメージです

第二楽章およびリズにおける希美最大の過ちは、みぞれが新山先生から音大パンフレット渡されたと聞き「私ここ受けようかな」と”対抗心だけで反射的に言ってしまった”ことです。ここはリズの中でも大好きのハグと並んで象徴的な場面です。そして上記の山田監督インタビューで示されるリズにおける希美の性格は、ここを基準に構築されたのではないかという気がします

 

③音楽が好き

希美は音楽が好きです。一方、みぞれが音大へ行く理由は、”みぞれの説明上は”「希美が受けるなら、私も」です。これは希美にとってあまりにもキツイです。自分より音楽の才能が上だと評価されている人間が、音楽は二の次だと言っているわけです(それも音楽が好きと公言している相手に対して)。この状態で負の感情が芽生えない人間がいるでしょうか。一歩間違えれば当てつけと取られかねないかなり不味い発言です。

もちろんみぞれに悪気は全くなく、100%希美への愛情から来た行動です。そう、みぞれが希美への想いを行動で示したのです。しかし悲しいかな、これまたタイミングとしては最悪で、完全にボタンの掛け違いに終わります。みぞれ渾身の行動が裏目に出て事態は悪化します。

 

①問いかけに応じないオーボエに対する不安、②才能格付けによるダメージ、③すれ違う思いによる追い打ち。逃れられない負の感情により希美が動けなくなります。

希美が負の感情を相手にぶつける人間であれば、結果がどうなるにせよ直接コミュニケーションを取ることになるため早期に決着していたことでしょう。ただ、希美は負の感情で相手を傷つけることを嫌う人間でした*5。それゆえ問題は長期化します。

 

音楽室の攻防

原作では希美の強がりの目立つこの場面、リズでは進路責任の攻防がより強調されているように見えて面白かったです。

希美にとって思わず音大を受けると言ったのは軽率な失言ですが、一方のみぞれにとっては天啓でした。卒業という別離から逃れる手段がいきなり目の前に降ってきたわけです。乗るしかないこのビッグウェーブにって奴です。

さて、本来自分の進路は自分で決めるべきで他人に乗っかるものではありません。音楽のプロという狭き門、茨の道を目指すかどうかという選択では特にそうです。あすか先輩ならこの正論をズバッと突きつけそうですが、希美には自分もみぞれのパンフレットに乗った弱みがあるため強く言えません。そこで他者を交えた探りを入れます。

南中カルテット勢揃いの中、唐突に希美が切り出します「みぞれ音大受けるんだよ」。みぞれ単独の話としての持ち出し、音大を受けるのはみぞれ自身の選択というみぞれへの牽制と、周囲への連絡です。人生の岐路ともいえる選択を他者に委ねるのは明らかに無責任です。みぞれにも周囲にもそのことに気が付いてほしいし、失言からの間違った関係を正常化させたいという思いの発露です。希美は自分を理由に進路を決められるのは辛いのです(特に上記②③の状態ならそうなります)。

しかしこの牽制はみぞれに理解されることはなく、また希美がいなくなってしまうと感じさせただけでした。それゆえみぞれは離れたくない意思を再び伝えます「希美が受けるから、私も」。みぞれは希美を理由に進路を決めたいのです。完全なすれ違いです。

端的に書けば「自らの進路は自らの責任で決定すべき」「だが断る」の攻防です。これはダメだと判断した希美は「みぞれなりのジョークでしょ」と交わして撤退します。もちろん単なる冗談だと考えておらず、複雑な感情が渦巻いているでしょう。音楽面では希美を嫌うかのごとく無感情なのに現実世界では離れたくない風を出してくる、ますますみぞれが分からなくなっていきます。

希美は負の感情の芽生えにより本質的には動けないものの、現実世界のみぞれを見てとりあえず嫌われてはいないはずとの確認行動はします。すなわち、あがた祭りやプールを自分と行きたいかの誘いです。ところが練習が進みますます掛け合いに違和感が深まる中、みぞれがいつもと違う行動に出ます「他の子、誘っていい?」。いよいよ現実世界でも嫌われたかと焦ります

 

みぞれと梨々花の共演

そんな状況でみぞれと梨々花の掛け合いが聞こえてきます。このときのオーボエは感情のこもったものでした。繰り返しですが、希美はみぞれのオーボエが感情爆発だということを知っています。自分とでは出てこない感情オーボエが他人とだと発揮されていることを聞かされる、音楽優先主義希美からすると完全に殴られたようなもんです

みぞれ梨々花の共演はリズオリジナルでその後の相談相手は夏紀、原作ではプール中で相談相手は久美子と違いはあるものの、似た内容を相談しています。ソロの掛け合いの解決は本音で話し合うこととはいえ、「あなたは私のことを嫌っているのか?」と本人に聞くのは難しいですよね。

「普通に仲良くなりたいと思ってるだけなんやけどさ、なーんか上手くいかへんねんなぁ。こう、あんま上手く言えへんけど。優子とか久美子ちゃんとは普通に接しているわりに、うち相手やとよそよそしいというか・・・なんか、距離を感じる

ソロもうまく噛み合わへんしさ。みぞれって、ほんまはうちのこと嫌いなんちゃうかって最近は思ってて---」(第二楽章後編p.131)

 

倉庫でのトリオ談義

原作では麗奈への独占欲を吐露した久美子のためだけに吹くトランペットソロ in 大吉山を、希美みぞれへ聞かせるためのペット&ユーフォの掛け合いへアレンジしています。この久美子の独占欲、リズでは希美に取り入れられてます。リズでは原作の他キャラの設定をちょくちょく取り入れてるところがあって、比較するのも面白いです。

さて、「じゃあ元気でなって感じの強気のリズ」を聞いた希美は、改めて進路についての悩みを優子&夏紀へ打ち明けます。しかしみぞれの保護者である優子がさえぎります「それ、みぞれには話したの?」「話してないよ、なんで?」。

優子は思い入れのある相手のための行動をするときは暴走気味で、アニメだとそれがより強調される傾向です*6。相談を持ち掛けられているのに、目の前の相談相手よりもその場にいない人間への対応を優先すべきだといきなり告げるわけです(相談に乗った後ならともかく)。この場面の優子は徹頭徹尾みぞれ優先の感情をぶつけるため、相談している希美としてはとても辛いです。優子の保護者っぷりはリズ後の原作でも再び発揮されますが、過保護すぎるゆえ逆にみぞれを理解できていないところもあります(短編2巻p233-234)。

実際のところ希美は相手から答えが欲しいのではなく、自分の失言から始まった気持ちを整理して次へ進むため、第3者にただ聞いてもらいたいのです。当事者であり進路選択の理由を希美が行くからと説明しているみぞれ相手ではこれは出来ません。

 

覚醒するオーボエ

化け物演奏タイムです。ここは言葉で語るだけ無駄ですよね、圧巻です。希美感情を通して演出される画面とかとにかく色々素晴らしすぎます。

このときのオーボエは青い鳥の愛のあり方を理解したものであるため、当然感情オーボエとしてそれが発揮されます。すなわち無感情オーボエの原因として希美が推測していたもののうち、”嫌われている”が消えます。となると残るは”本気を出していなかった”です。結局麗奈と同じ側の推測が残ることになります(みぞれの真意は違いますが)。

 

大好きのハグ ・完璧に支える宣言

これに関しては既に多くの人が考察してます。あと、ここのリズでの感情の動きは台本に詳述されそうです。ということで別の角度から。

原作とリズでは、支える宣言と大好きのハグの時系列、希美がハグに応じるかみぞれが強引に抱きしめに行くかが違います。これは山田監督ののぞみぞ添い遂げて欲しい思いの表れではないかと感じます(武田先生との対談参照)。

 原作:オーボエ覚醒→完璧に支える宣言→大好きのハグ(希美がハグに応じる)

 リズ:オーボエ覚醒→大好きのハグ(みぞれが抱きしめに行く)→完璧に支える宣言

原作だと覚醒したオーボエを聞いた後、希美は久美子に心情を吐露し、慰めも必要とせず一人で立ち上がります。最高に希美が美しいシーンです。さらに完璧に支える宣言後の練習では滝先生、橋本先生もご満悦の演奏を披露します

希美は悩み、打ちのめされても、彼我の差を認め、その上で対抗しようと誰の手も借りずに立ち上がる精神力を持った人間です。ハードモード人生を歩んでいるせいか高校生離れしてます。また、みぞれも「気持ち悪い。こんなふうに友達に執着するなんて」と自己分析したりと、我を通すだけのキャラではありません*7

「じゃあさぁ、もう足を引っ張るわけにはいかんやん。みぞれのソロを完璧に支える。それだけが、うちにできるあの子への唯一の抵抗やねん。好きとか嫌いとか、そんなんは関係ない。ソロだけが、うちがあの子と対等でいられるたったひとつの方法やねんから。もう、あんな醜態はさらさへん。うちは、自分の与えられた役割を完璧にやり切る」(第二楽章後編p.250)

しかし”みぞれ(主役)と希美”に焦点を絞って構成している映画で希美が一人で再起するとクライマックスが訪れません。やはり希美が立ち上がる場面にはみぞれがいて欲しいです。また、一途な想いの発露としてみぞれが抱きしめに行く大好きのハグは素晴らしい見せ場になっています。そして大好きのハグを経て希美は再起します。のぞみぞ添い遂げて欲しいの願いをギュッと詰めこんだのが大好きのハグの場面と思いました。その後の希美のみぞれ勧誘回想なんて完全なる傘木お前案件でハッピーエンドの予感がビシバシ来ます。

山田監督は「詰将棋をしているような感覚(Spoon, No.124, p.48)」でリズを構築していったことを述べていますが、この回想シーンだけはつべこべ言わずにハッピーエンドになれ!といった感情があふれたシーンではと思ってます。私もそうでしたが大部分の観客がここで「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」ってなったんじゃないでしょうかw

 

ハッピーアイスクリーム

大好きのハグでみぞれが希美への想いをぶつけ、希美もみぞれの内面を知ることとなりました。みぞれが行動し、希美が理解しますようやく2人が本当の意味で出会ったんだと思います。

そこから先の2人の関係がどうなるかは誰も分かりません。それでも、すれ違い合う表面上の友達から不器用ながらも一歩前進したことは確かです。この関係にハッピーエンドの未来の1つを垣間見せてくれたのがリズと青い鳥ではないか*8と思っています。

さて、リズと青い鳥ラストの台詞、観客には聞こえないし口元も見えません。色々な推測がなされていますが皆さん何派でしょうか?私は「おごるよ!」派ですハッピーアイスクリーム

 

 

 

*1:特にSpoonの山田監督インタビューで希美の退団・復帰に関するところ等が顕著です、後述

*2:これは特別であるから傍にいてくれるのかという寂しさ混じりでもありますが

*3:麗奈の場合は北宇治吹部トランペットのエース

*4:オーボエ奏者の方によると”化け物じみた演奏”をリクエストされたとか

*5:短編2巻「真昼のイルミネーション」に詳しいです

*6:TV1期の八百長依頼はいくらなんでも悪者にしすぎだと思いましたが

*7:前段に書いた「私誘われるのを待ってばっかりだった。いつもそう。見てるだけ」もこれに当たります

*8:山田監督は「小説で描かれていたことを自分の解釈でねじまげないことが、監督である私の責任」とも述べているように、完全なハッピーエンドではなく、あくまで可能性を見せれくれたのかな、と

傘木希美考察~吹部復帰まで~

リズと青い鳥を見たりや原作を読んだ人の感想として、「傘木そういうとこやぞ」から「なに考えてるかわからねー」、はたまた「傘木希美の感情を考えると死んだ」、しまいには「この世界ちゃんと傘木希美愛してる?大丈夫?」といった様々なものがあがっています。

本稿はいわゆる「傘木希美の感情を考えると死んだ」系のものです。脳内で悶々とするより文章にしたほうが落ち着くのではとまとめようとしてたのですが、気持ち悪いくらい長くなったのでとりあえず復帰までです(→北宇治3年編追加)。

kasakin.hatenablog.com

特に退部関係はTV版よりも原作の方が自然に感じたので、原作で描かれた背景を考慮しつつ、時系列的に傘木希美の行動と感情、その理由についてのあくまで1つの考察をしています。

 

 

 傘木希美とは

  • 好きなもの:納豆、オクラ、山芋
  • 嫌いなもの:カニカマ、はんぺん

という原作公式HPの紹介はともかくとして、傘木希美を考える上で”希美は音楽が大好き”であるということはとても重要なポイントだと思います。そして希美の言動は、音楽が優先順位の1番目にあることから発せられていると思える部分も多いです。

また、久美子が抱いた以下の感想も、希美の性格を端的に表していると感じます。

たくましい二本の足が、自分の最善と信じる道を切り開く。傘木希美とは、初めからそういう人間だった。(第二楽章後編p.207)

 

1年生:入学~元南中大量退部事件

南中卒業~北宇治高校入学

南中は久美子出身の北中と同様に全国経験はないものの京都では有名な強豪であり、希美の世代も中1で関西ダメ金、中2で関西銀と順調な成績を残しています。しかし、希美が部長であった中3ではまさかの京都府大会銀と、関西に進めずに終わります。

2年で関西銀で終わったのは前年金の慢心からと、3年では部員全員が一丸となり全国を目指して練習に励み、完璧な仕上げをしたにもかかわらず原因不明の早期敗退*1と、希美の描かれ方は出だしからハードモードです。

しかしこのショックからは北宇治入学時に既に立ち直っており、京都の高校で全国は現実的でない*2にしても、うちらが弱小北宇治を変えてやる!との意気込みで吹部に入ります。全国に行く憧れはあれども、やる気のある仲間との結果なら銀でも銅でも最終的には納得するというスタイルでもあるため*3、北宇治が弱小でも進学先としては構わなかったのでしょう。

このように前向きに入部した希美たち元南中一行ですが、彼女らの理解を越えた顧問・先輩の存在にぶち当たります。

 

退部に至る状況

これはTV版と原作で受ける印象がかなり違います。TV版では主語が希美で「優子は声かけてみたんだけど」「みぞれは声かけなかった」となっています(説明を単純にするため?尺の問題?)。しかしこれだと希美が1人だけで部に戻ってくるのは不自然です。原作の方が詳しく書かれており自然な流れと思いますのでそちらを参考にします。

原作では”元南中のメンバーが退部を決意し、希美や優子を誘った(なお、みぞれは誘われなかった)”ということが詳述されています。この元南中達が退部を決意した理由も、”自分達がコンクールメンバーに選ばれなかったから”ではありません。”練習を真面目にやっていて演奏技術も3年より上の2年生(香織、晴香)が選ばれなかった”からであり、練習もしない3年がAに選ばれる理不尽への抗議に対する3年からの意見、「この部活は元々上を目指していない、部内の秩序を乱しているのは1年でみんな迷惑に思っている」に対し、部内から反論がなかったことが最大の理由です。この3年の意見に反論がないということは、顧問が変わるミラクルでもない限り今後のコンクールも絶望を意味します(合奏は1人でもやる気のない年功序列メンバーがいると即破綻)。

改めて元南中大量退部の状況をまとめると以下となります。

  • 真面目に練習をしたいと何度訴えても却下された
  • パートによっては露骨に無視のようないじめに近い状況(フルートがその代表)
  • 自分達だけではなく、真面目で演奏能力の高い2年生までコンクールメンバーに選ばれなかった
  • 3年の「迷惑をかけているのはあんたら」という意見に反論がないことから、3年卒業後もまともな部活が出来ないことが確定した

あすかは1年のときに香織との会話の中で、当時の2年(希美入部時の3年)へ以下のような評価をしています。元南中メンバーとぶつかった先輩は、希美達の入学前から既に問題児であったことが伺えます。

「来年、もっとひどくなるって可能性はある。いまの2年生はとがった無能ばっかやし」

「ああいうさ、他人を虐げることでしか自分の存在価値を感じられへん人たちってなんで発生するんやろうね。ほんま、脳みそ空っぽで可哀想」(短編集2巻p.46)

また、原作1巻では2年(あすか世代)の1年(希美世代)に対する態度がどのようであったのかを斉藤葵の台詞から推測することが出来ます。これによると1年を気にかけていた晴香達が少数派であり、3年よりの態度が大勢であったようです。葵ちゃんの自分の醜い部分から目を反らしたくないという性格は希美に共通する部分があるかもしれませんね。

「晴香だって、去年のこと覚えてるんやろ?」

「なのに、のうのうと全国目指すやなんて、私には言えへん。なんでみんな平気なん?私にはわからへん。去年あんなにあの子らのことを責めていたくせに

「私はもう無理。耐えられへん。一生懸命頑張りますなんて、私には言う権利ない」(1巻p.154)

 

みぞれを誘わなかった理由 

誘わなかった最大の理由は原作・TV版で希美が自ら語っている通り、みぞれが頑張っていたからです。しかし、退部状況を考えると、そもそも部に残留する同級生に自らの口で退部を伝えること自体がかなりの自傷行為です。

まず、希美は南中で部長をしており、夏紀に熱血ちゃんといわれるほど真面目に取り組んでいました(北宇治3年での京都大会出発時には、元南中の後輩1年から「希美部長のソロ楽しみにしています」と言われるくらいに部長として慕われていたことが伺えます、第二楽章後編p.40)。すなわち、元南中のまとめ役を担う立場です。

そのために自ら上級生に対して意見に動き、部を変えようと人一倍努力していました。しかし結果は仲間の堪忍袋の尾が切れてしまっての大量退部です。自らが下した決断で仲間を導いた事態ではなく、まとめ役である希美のハンドリングがもはや効かない事態の発生、そして退部すなわち1年側の敗北という最悪の結末となります。元部長としての責務を自覚していた希美からすると完全なる失敗体験であり、心がやられる事項です。そして、「こんなとこにいて、いったいなんになんの?上手くなれる?」と逆に諭されることで希美自身も退部に至ります(2巻p.150)。

さらに、退部メンバーはまとめて軽音部に移籍し新たなグループで再出発をきった一方、希美は吹奏楽自体は続けており、退部期間中は誰とも行動をともにせず社会人吹奏楽団に所属しています(2巻p.151)。つまり誘いを断って単独で動くことを選択したのであり、みぞれを誘う誘わないという問題以前に、”誰も誘わない”選択をしたのです。

もちろん、退部を伝えるくらいはするべきではないかと言う意見もあるかと思います。しかし、上記のように退部は積極的に話したくはない苦い失敗体験であることや、希美が退部を誘われたときに優子も同席してたため*4自らの口で伝えずとも部に残留する優子が希美たちの退部を伝えてくれると考えるのは自然なことです。そして、もし希美たちの退部に思うことがある人は逆に聞きに来るとも考えていたのではないでしょうかこの行動を起こしたのがあすか先輩で、これであすかは希美にとって特別な存在になりました)。

希美はその後みぞれと会わずとも問題なく過ごしており、原作中で何度も久美子が感じているように、この時期の希美→みぞれは完全に友達のうちの1人という認識であったと思われます。すなわち、わざとみぞれに伝えなかったのではなく”特別に自ら退部を伝えないといけない濃密な関係ではなかった”という単純な理由であったと推測されます。逆に、みぞれはここで動くことがなかったため、ただの友達を脱して希美の特別となるチャンスを自分で捨てたとも言えます。特別になるためには待っているだけではダメなのです(この点、香織先輩のあすかに対する行動力は凄まじいです)。

  • 希美は退部を誘う側ではなく誘われた側
  • さらに希美は退部メンバーからの軽音部移籍への誘いを断って別行動しており、誰かを誘うではなく誰も誘っていないのが実情 
  • 希美はフルートパートの問題児扱いでいじめに近い無視を受けているが、みぞれはそのような状況ではなく退部を勧める理由もない 
  • 優子が退部を誘われたときに同席しており、希美が退部することは部に残る優子を通じて皆に伝わる 
  • みぞれは当時の希美にとって友人の1人であり特別に自ら伝えないといけない関係ではなかった
  • また、みぞれも部内問題に対し相談相手になったり退部を引き止めたりすることはせず、希美の特別となるための行動自体を起こさなかった

なお、TV版では南中敗退時のバスで希美がみぞれに「高校に入ったら金取ろうね」と約束する場面がありますが、原作ではその会話はありません

また、バスの座席位置も原作では希美が窓側なのに対してTV版ではみぞれが窓側となっており*5原作とTV版における2人の関係、特に希美からみぞれに対する熱量の違いが伺えます

 

負の感情の有無

リズと青い鳥にも繋がるキーワード”嫉妬”ですが、どの時点からそれがあったかというのは大きな議論であり結論が出るものではないでしょう。そもそも嫉妬と賞賛は一体であり、相手に対して思うところがなければ素直な賞賛、なにかしら負の感情が芽生えてしまえばそれが裏返り嫉妬となります(意味的には嫉妬より羨望が正しい?)。

おそらく退部した1年の時点では、みぞれの演奏に対する感情は素直な賞賛であったと思われます。希美とみぞれは競争相手ではなく、上手い部活仲間は頼もしい味方です。この賞賛が裏返り始めるのは、自由曲がリズと青い鳥に決まるのを待つことになります。これについては3年生の項で詳述します。

 

元南中メンバー

希美個人がこの時点で賞賛の側であっても元南中全員がそうかは不明です。退部主導メンバーが誰一人みぞれに声をかけなかったのは、久美子が推測したようにみぞれだけがAに入った嫉妬も理由の1つである可能性は大いにありえます。

とはいえ、みぞれは上級生からの嫌がらせを受けず黙々と練習しており、部のごたごたにも我関せずであったのであれば、声をかける理由も特になくなってしまうので原因ははっきりとしません。

夏紀の過去語りでも夏紀自身も退部を誘われたという口調では話していないので、現在の部で良しとしている(もしくはそのように見える)部員には声をかけないというだけだったのかもしれません。

短編集などで元南中退部メンバーの描写もぜひ読みたいですね。

 

田中あすか

あすか先輩は退部時の行動で希美にとっての特別な存在になりました。当時のあすかに部を変える意思はないので、希美が戻ってきたくなるという予言は顧問交代の結果オーライであり、いくら聡明とはいえあまりにも未来視ですが、言動的には希美のツボを押さえまくっています。さすがあすか先輩です

  • 退部を引き止めに来た=希美のことを考えた行動
  • 3年が嫌いだとはっきりと口に出して伝えた=反3年の立場表明
  • 希美が吹奏楽を好きなことを見抜いていた=”音楽”的理解
  • 予言が当たった(完全に偶然とはいえ)

あすかが退部を引き止めようとしたのは上手い部員がいることは損じゃないというある意味打算ですが、引き止められる側にはとても嬉しいことです(しかも引き止めに来たのは希美だけという特別扱い)。また、当時の2年は3年に同調するか3年を恐れて従うばかりだった中で、私は1年の意見に賛同しているという姿勢を毅然と示したわけです。さらに音楽・吹奏楽が大好きだという希美の本質を理解した上での説得、これは心惹かれます。その上で予言的中、数え役満以外の何物でもありません。

 

2年生:吹奏楽部復帰

退部のトラウマ

上述のように希美にとって元南中の大量退部は大きな失敗体験です。さらに、顧問交代で北宇治吹部が一変し、残った人間こそが正解のようになってしまいました。

実際には顧問が交代するなど誰にも分かるものでもなく、滝先生が来なければ合奏をやりたい人間にとっては退部が正解であり後悔する必要など全くなかったでしょう。元南中大量退部は失敗事項であるものの最終的に退部を決め社会人楽団へ入ったのは、上手くなるための環境を求めての音楽に対する前向きで真摯な選択だったからです。自身の最善と信じる道を切り開いたわけです。

ところがこの選択が滝先生就任で裏目に出ます。この不運で希美は自身の音楽に対する姿勢への自信が揺らいだかもしれません*6。さらに、退部を選択した自分が悪いと自罰的に考えているとも思われます。リズで退部の話をするときに言いわけじみた口調になっているのはその表れとも言えます。

希美に厳しい世界といわれる一端がこの退部問題です

 

復帰の決意

あすか先輩の予言は顧問交代がなければ大外れでしたが、そこはあすか先輩なので的中します。希美は仲間の誘いを断り単独行動となってでも吹奏楽を続けるくらいに吹奏楽が大好きです、吹部がまともになれば戻りたいと思うのも当然です。元々はそういう部活をやりたかったわけなのですから。

とはいえここで本当に復帰する(それも1人で)というのはとても勇気がいること。普通の人間ならプライドが邪魔をして戻ろうとはしないのではないでしょうか。そして吹部のことは頭から消し去って終わりにすると思います。それでも復部したのは吹奏楽に対する強い思い入れと、そして希美自身も言っているように特別なあすか先輩の手伝いをしたいという思いがあったからでしょう。希美の音楽優先主義の一面がここに表れています。この感情に関しては原作2巻p.156-158での希美の台詞が全てを表しているので是非とも読んでもらいたいところです。

しかしそのあすか先輩から復帰を却下される、しかも理由は教えてもらえずに。更なる人生ハードモードの始まりです。

 

あすか先輩による復帰拒否

これに関するあすか先輩の対応は実にらしくないです。復帰を認めず部活でののぞみぞ接触を絶っても、その他の接触は全く防げません。同学年で同フロア、校内行事にしろ廊下でのすれ違いにしろ機会はいくらでもあります(さらにみぞれは廊下で練習、そして実際に接触)。

いくらみぞれから希美に会うのが怖いと相談を受けていたとはいえ、こんなことは本来のあすか先輩なら瞬時に考えが回るはずです。後に自身でこの騒動の時は自分の都合しか考えていなかったと反省しているように(3巻p.236)、視野が狭くなっていて判断力も鈍っていたのでしょう。下策ではないが上策でもない問題先送りの凡人的対応をした感があります

 

南中カルテットの立場

読者視聴者の視点は最も発言力が大きく意見がはっきりしている優子に引っ張られることになります。しかし、優子視点はあくまで1つの視点に過ぎず、違う立場で見るとかなり様相が異なります。

 

吉川優子

優子はみぞれから相談を受けている数少ない人物です。それゆえ、みぞれが苦しんでいることおよびその理由を知っています。さらに優子はみぞれを助けてやらねばならない存在と認識しています(短編2巻p.291)。よって、優子視点では、みぞれが希美のことを考えて苦しんでいる、すなわち希美が強い存在でみぞれを振り回す立場です。希美がみぞれに対してアクションを起こすのが当然となります。 

中川夏紀

一方の夏紀はみぞれから相談を受けていません。よってみぞれが苦しんでいること自体を知りません。部活のみならずクラスで顔を合わせている同級生、そして夏紀のように気配り全一の人間でも、話すなり行動を起こすなりの何らかのアクションがないと気付けないものは気付けないのです

優子は上記の立場であるため、希美に対して「何かしたから怒ってるんとちゃう、なんもせえへんかったから怒ってるんや!」と言いますが、実際にはみぞれの方も何かしてもらうための気付きを与える行動をしていません。

さらに、夏紀は南中退部騒動のときに遠くから見ていただけで何もできなかったことを後悔しています(2巻p.233)。すなわち、退部問題で行動しなかったのは当時相談に乗ったり協力することが出来なかった側という認識です。

このため、先の優子の台詞に対しては「はあ?何、意味わからん事言うてんの」となります。 

鎧塚みぞれ

自分が希美の特別になるための行動をしていないことをみぞれ自身も薄々認識していると思われる節があり、あすか先輩への相談でも「あの子(希美)は何も悪くない」と話しています(2巻p.193)。

後の話になりますが、3年進級後の大好きのハグに関する台詞でもこれを示唆する台詞があります。そして、ついにみぞれが自分から行動するというのが第二楽章後編およびリズになります

私、誘われるのを待ってばっかりだった。いつもそう。見てるだけ

「もし、あのとき、自分の気持ちを伝えてたら。たまに、そう思う。何かが、変わっていたのかも」(第二楽章後編p.253-254)

傘木希美

実は希美が一番みぞれを理解できない立場にいるのではないかと思います。希美としてはみぞれを吹部に誘っただけであり、特別なことをした意識は全くありません。逆に言えば、特別なことをしていないのでみぞれから特別に思われる理由がありません。

しかし、みぞれにとってはそのこと自体が特別であったため、いきなりみぞれ側の壁が取っ払われます。すなわち、他の部員と違って希美にはみぞれと仲良くなる過程がありません。このため、みぞれがどういう人間かを知ることがなく”友達”になりました

また、みぞれは直接的に希美に思いをぶつけることがなく、希美との距離を縮めるチャンスも見ているだけでスルーしています。普段の態度から嫌われていることはないだろうけれども、近づいてくることもないため、”仲がいいとは思うが不思議な子”というリズで梨々花に対して述べた感想がまさにそのものになるのではないでしょうか*7

リズでもみぞれとの会話はキャッチボールというより微妙にずれており、一方的に希美がしゃべり続ける形になっています。これは、みぞれのことがよく分からないがゆえに会話が続いていないと不安になる、といったことの表れでないかと思います*8

 

復帰騒動~正式復帰

復帰の申し出は尊敬するあすか先輩によってにべもなく却下されます。しかも理由は教えてもらえずに。しかしそこで自暴自棄になることはなく、あすか先輩がそういうのであれば自分の復帰が何かマイナスになることがあるのだろうと冷静に受け止める落ち着きと理性を持っています。ただ、実際の理由は希美に悪い部分があったわけでもないため、何故復帰が認められないのかの戸惑いはかなりのものであったと思われます。

そうこうするうちに関西大会も近くなり、みぞれがソロで悩んでいる噂を聞いて相談に乗ろうと動きます。これは希美が悩んでいるときにみぞれが動かなかったことを考えるとかなり対照的です。また、このように相談に乗ろうとすること自体、この時点の希美はみぞれに対する負の感情がなかったことも伺えます*9。和解の場面でも純粋にみぞれのオーボエを称賛しています。

「わたしがさ、あの子の力になれたらええんやけど」

希美はそう言って目を伏せる。その声はどこまでも純粋で、彼女の心根の優しさを久美子は直視するハメになる。(2巻p.246-247)

 

結局は2人が接触することでこの問題は解決に至ります。これで一件落着良かったね、とならないのがユーフォの恐ろしくも凄いところです。互いに対する思いの熱量の差、すれ違いは継続しており、ここに進路問題等が絡んでリズと青い鳥へと続きます。

追加戦士である希美の見せ場が来年あるのは間違いないという単純な予想を軽く超え、さらなる試練が訪れるのです。

 

リズと青い鳥にたどり着く前にやたらと長い前提を経ましたが、まだ希美とみぞれは本当の意味では出会っていない状態です。希美もみぞれもお互いにお互いをキチンと見ていません。

希美とみぞれの本当の意味での出会いがリズと青い鳥になるのではないでしょうか

 

 

*1:優子は納得がいっていないものの、コンクール向きの演奏ではなかったのではないかと推測して折り合いをつけている(2巻p.213-215)。ホントの話で追加されたあすか先輩の吉川優子評、”トップ以外の場所に立つと無自覚な部活クラッシャーになる(短編2巻p.98)”は考えだすと収拾が付かなくなるのでスルー

*2:高校では大阪3強が圧倒していたため。久美子1年での全国も3強の一角のソリストが骨折&代理がミスでようやくという厳しい世界

*3:北宇治1年のコンクールに対して「やる気のある奴だけ集めて大会に挑んでたら、それで結果が銀でも銅でも納得できたはず」という台詞がある、2巻p.147

*4:久美子に優子たちが部に残った理由を聞かれたときに「優子は誘われたとき、もう少し続けて見るって言ってた」と答えているため、希美と優子は元南中メンバーに同時に退部を誘われているものと推測できます、2巻p.151

*5:希美の席にみぞれが座りに来たか、みぞれの席に希美が座りに来たかの違い

*6:久美子にフルートが好きなんですねと言われたとき、不自然な返しになったのもこの影響と推測される(2巻p.110)

*7:原作では梨々花の相談相手は久美子であり、久美子の経験談から適切なアドバイスがなされている。一方、希美にはみぞれとの仲良くなるための過程が存在しないため、経験談ができない

*8:コンクール後の描写で、会話が途切れても問題なくなったことがわざわざ描かれていることからも推測されます、短編2巻p.18-19

*9:なお、希美は本心を隠すことがありますが、隠しているときは久美子にバレバレです

傘木希美年表

傘木希美を考察するに当たってまずは脳内整理のための年表作成

徐々に考察

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※アニメ、映画未放送部文字反転

生誕:12月3日

13歳:南中1年

  • 南中学校入学
  • 吹奏楽部入部
  • 鎧塚みぞれを吹奏楽部へ誘う
  • マイフルート購入
  • 京都府大会金賞
  • 関西大会金賞:ダメ金

14歳:南中2年

15歳:南中3年

  • 吹奏楽部部長就任
  • ラストチャンスとして全国を目指す
  • 京都府大会銀賞

16歳:北宇治1年

  • 北宇治高校入学
  • 吹奏楽部入部
  • 上級生と衝突し元南中メンバーに誘われ退部
  • 単身で社会人吹奏楽団入団
  • 京都府大会銅賞:不参加)

17歳:北宇治2年

  • 京都府大会金賞:不参加)
  • 北宇治高校吹奏楽部復帰
  • Bメンバーとして裏方を担う
  • (関西大会金賞:不参加)
  • (全国大会銅賞:不参加)
  • 3年引退後の学生指揮者:TV版

18歳:北宇治3年

  • 吹奏楽部会計係就任
  • コンクールAメンバー(フルートソロ)
  • 京都府大会金賞
  • 関西大会金賞:ダメ金
  • 1年生メンバーのために校内アンコンに参加&曲目考案

19歳:大学1年(予定)*1

  • 吉川優子、中川夏紀と同じ大学へ進学
  • 実家より大学へ通う
  • 同大学のオーケストラサークル入会
  • ポニーテールをやめてパーマを当てる、かもしれない

*1:短編集2巻、北宇治高校吹奏楽部のホントの話より